第2回も好評のうちに終えることができました。講師の安原先生は、ベートーヴェンと同時代の作曲家クレメンティの弟子で、ロシアで活躍したフィールドから、20世紀のラフマニノフまで、5人の作曲家(他にはグリンカ、A.ルビンシテイン、チャイコフスキー )のピアノ曲を紹介されました。音も流しながら解説してくださり、ロシアが西欧音楽後進国から第一線の作曲家を輩出するようになる軌跡を、短い時間でたどることができました。
圧巻だったのは、先生が最近訪れたイワノフカの様子を画像を映してくださったことです。ラフマニノフの曲は映画のBGMや最近ではフィギュアスケートでもよく流れていますが、ほとんどはイワノフカの別荘で書かれたものです。この別荘は革命後に取り壊されてしまいますが、近年再現されてラフマニノフの博物館として公開されているそうです。空のような青と白に塗られた外観やアンティークな調度品に彩られた内部は、今にもラフマニノフがそこに現れそうです。興味深いことに、最近この博物館にラフマニノフが弾いていたベッカーピアノが寄贈されたそうです。講座ではそのニュース映像(もちろんロシア語)が流れました。
安原先生がラフマニノフで取り上げたのは有名なピアノ協奏曲第3番でした。この曲は、やはりイワノフカの別荘で1909年に作曲されています。ウィキペディアにはこの時の写真も掲載されていますが(「ピアノ協奏曲第3番 (ラフマニノフ)の項目)、安城のベッカーピアノはまさにこの頃、サンクトペテルブルクで作られたものです。先生の話を聴くうちに、「イワノフカへ行ってみたい」「ロシアが手招きしている」そんな気持ちがふつふつと湧いてきました。もうすっかり奥の細道の芭蕉の気分です。これを今読んでいるあなたもいかがでしょうか。安城のベッカーピアノにはこんな魅力もあるのです。
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