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わたしたちのこと

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 南吉ピアノが修復されて安城市民のまえに姿を見せたのは、平成27年のことでした。最初は歴史博物館のエントランスで、後には完成したばかりのアンフォーレのホールで、これまで何度かコンサートが開かれてきました。

    南吉には、例えば宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」のような、楽器や演奏がメインになる作品はありませんが、日記などにでてくる音楽に関する南吉の記述を、このピアノを通して確認できるような、貴重な体験ができました。

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 ピアノの外見は、装飾的な譜面台や脚をみるといかにも古い時代のピアノを思わせますが、それ以外は普通です。音も、ベートーヴェンやショパンの頃のピアノのことを思えば、これまたごく普通です。

    しかし曲が進み耳が慣れてくると印象が変わります。最初はくぐもりがちでクリアさが足りないようにも聞こえるのですが、やがて決してうるさくならないやさしい音色が、耳に心地よく届くことに気が付くのです。

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    作曲家の生きた時代の楽器を使用したり、その時代の演奏法を再現すると、同じ曲でも表情が変わり思わぬ一面が顔を出すことは、専門家や愛好家の間では近年よく知られるようになりました。このピアノにもそうした可能性があることを実感します。

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 わたしたちは、南吉ピアノにはこのような楽器としての魅力や価値があることを、ぜひ安城のみなさんに知ってもらいたい、と考えました。そのためには何をしたらよいのか、まずは有志数人が集まりました。これからみなさんと手をとりあいながら、この輪を広げていきたいと思います。

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